主旨と意義!

願成就院住職 小崎祥道

 当山は鎌倉時代頭書の文治5年(1189年)に全国統一の達成という、源頼朝公の大願成就を祈って、北条時政公によって建立された寺であります。
 鎌倉時代には、北条氏3代(時政、義時、泰時)の間に健立された堂塔伽藍が裏山を背景にして建ち並び、前庭の大きな池にその影を落とす、まさに極楽浄土をこの世に具現した大寺院でありました。
 北条義時公のときには、朝廷より定額寺に列せられ、数多くの仏事が営まれ、参拝する善男善女で大変にぎわったことが窺われます。やがて、戦国の世に入ると寺運は衰運に向い、堂塔伽藍は統べて、戦火によって失われてしまいました。
 しかし、幸いにも創建時の大御堂本尊、運慶謹作の阿弥陀如来像はじめ不動明王、二童子像、毘沙門天像、尼将軍ゆかりの地蔵菩薩像などの尊いみ仏は、奇跡的に救い出されて今日に伝えられました。
 現在、寺の境内を中心とする周辺地域は「旧願成就院跡」として、国の史跡に指定され、運慶作のみ仏など文化財9点は国指定重要文化財となり、多くの善男善女に信仰されています。
 平成元年(1989年)は、この願成就院の開山800周年という大きな節目に当たるまことに記念すべき年であります。当山ではこの一代慶事に臨み、記念事業の一つとして、石彫5百羅漢像の造立を発願いたしました。この事業にあたり、伊豆在住の彫刻家山田収氏の全面的な協力が得られましたので、寺の境内にて、施主の皆様が自分の手で彫刻され奉納sていただくことにいたしました。
 施主のみなさまのさまざまな思いや願い、祈りが込められた、しかも自らの手で彫られた尊い羅漢像の造立は、今日の世相を思うとき、まことに意義のある浄業と考えます。その功徳は広大無辺でありまして、奉納者の各々の願意を必ずや成就してくださるものと確信いたしております。
 この勝縁がみなさまの心に宿る仏さまとの出合いの場となることを祈念いたしまして、ご参加を心からお勧めいたします。
 

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