にんにく 大蒜

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( 2)   94/11/30 19:23

     −−−−−伝統的な保健薬−−−−−

大蒜は又の名を胡蒜と言う。
わが国の最も早い時期の薬学書<本草経集注>にも既に大蒜として収載されている。
伝説では漢朝の張騫が西域より持ち帰ったとされている。

聞く所によると4600年前、古代エジプトでピラミッドを修築した民衆が
毎日必ず大蒜を食べたそうだ。
古代エジプト人は大蒜は気力を増し、疾病を予防してくれると思っていた。
工人のみか軍隊でも兵士に大蒜を食べさせ、体力の増強と勝利を勝ち取っていた。
当時はその他の国々でも大蒜に大変注目しており、
古代ギリシャのスポーツマンもこれでスタミナを付けていた。
古代インド人は同様にこれで知力を増し、大きな声を響かせた。

世界で最初に薬用に供したのは古代ローマの医者である。
彼は大蒜から搾り取った汁で膏薬を作り、
難治性の潰瘍面や皮膚の炎症を治すのに用いた。
また服用では咳嗽と腸管の伝染病を治すのに用いた。
古来よりシリアの農民には収穫期に大蒜を食べる習慣がある。
トルコやハンガリー等では今なお門口や妊婦の枕元に大蒜を掛けて
幸福と平安を祈っている。
スペインでは除夜の晩に大蒜のスープを作り、新年を祝っている。
また伝統的行事の「大蒜節」には各自畑から持ち寄った自慢の大蒜で
大きさを競ったりする。

世界でも長寿の里とされているソ連のコーカサス地方では
大蒜は有益で健康的な食物とされている。
霍乱が流行した日には人々は大蒜を潰して小さな袋に入れ、
お腹に掛けておき、随時服用して霍乱を防ぐ。

第2次世界大戦のとき、ドイツのファッシスト軍に包囲されて
化学薬品が不足した時、英国政府は数千トンの大蒜を買い込み、
兵士の瘡傷を治療したもので、当時は欠くべからざる薬物であった。

わが国でも大蒜を治病に使う歴史は古い。
秦の始皇帝が万里の長城を修築した時、30万の人民は厳しい労働条件と
貧しい生活環境で医薬品が欠乏した時、大蒜を食べて生命を維持した。
三国時代の名医、華陀は大蒜で回虫を駆除した。
明代の李時珍は大蒜には「五臓を通じ、諸竅に達し、寒湿を去り、邪悪を避け、
腫痛を消し、化積する」と多種の功能を認めており、
大蒜で鼻出血に奇効を得ている。
即ち<本草綱目>には「ある婦人が鼻血が出て一晩中止まらず、
色々やっても効果が無く」最後に李時珍が大蒜を足心に貼ったら
衂血が止まり、危うく難を脱した、とある。

古くから人々は外出の時には何時も大蒜を持って出たものだ。
大蒜を讃えて「炎風瘴雨も手が出せない。夏に食べれば暑気に耐えるし、
北方では肉や麺類を食べる時には付きものだ」と言っている。
大蒜には殺菌・消炎・止痛・消化を助ける・血液循環の促進などの功能の他に
血中のコレステロールを下げ、血栓の形成を防ぐ働きもある。

1990年に15ケ国の200 名の科学者からなる「大蒜の保健意義とその成分」なる
討論会に於いて、成人は毎日2〜4片の大蒜を食べれば
癌の予防が出来ると報告している。
毎日の食卓に大蒜と酢があれば、血圧を下げ、心臓病と中風発作を減らし、
同時に肥満を防止し、コレステロールを下げ、身体の疲労を解除する事が出来る。

大蒜は感冒にも大変有効である。
1965年のヨーロッパ風邪大流行の時、ソ連の医師は病人に大蒜を
食べさせることを提案し、その結果、高価な抗生物質を使わなくとも
十分に治すことが出来た。
                 (中国中医薬報 1994.10.7.より)


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( 2)   94/12/03 19:40

ニンニクには諸刃の剣の一面があるので気を付けなければなりません。
次に<本草用法>より引用補注しておきますから参考にして下さい。

大蒜:脾胃二経に入り、破積散寒の品。
   破積して以て散寒するのであり、前提として「寒積(不消化の物)」が
   無ければならない。
   つまり難消化性の物と一緒に料理すれば腹にもたれることが無いと言うこと。
   辟邪殺鬼するとは即ち門口や妊婦の枕元に大蒜を掛けて風邪などの流行病を
   防いだり、内服しては回虫を駆除したり、また瘡傷に外用したり、
   陰疽痃癖に貼ったり、ニンニク灸をしたり、
   生臭い物と一緒に煮て匂いを解消したりすることを言う。
   但し暑に中(アタ)って消化機能が衰弱したのを治したり(解暑)、
   治蟲の功(回虫を駆除・殺菌消毒)あると言えども
   耗陰損目の害(体液のロス、眼の乾燥)無きにしも非ず。
   肉積を消化し、*徴瑕(癌?)を除くが、剛猛な性質があるので
   体液の耗散も多い。
   道家は「内服すると損神伐性(却って元気を無くする)するから、
   専ら外用だけにした方がよい」と言い、
   開胃進食(食欲を増したり、もたれを防ぐ)の為に
   食事の時に少しだけ調味料として食べているだけである

禁忌:虚弱で熱のある人、極端に胃虚で小食の人、脚気の人、
   風邪などの流行病が治った直後、
   偏頭痛・脳膜炎・脳充血(高血圧)・結膜炎の人。

配合:●塩を加えて搗爛し、臍に詰めて灸をすれば霍乱にて腹痛するを治す。
   ●呉茱萸と一緒に搗爛して悪性の結核(しこり)に貼りて有効。
   ●杏仁・甘草と共に煎じて肺結核に内服する。
   ●砂仁・木香・白朮・陳皮・白豆寇・桂心と同煎して消化不良を治す。


以前、NHKブックスで東大講師・高橋晄正氏の「漢方」(?)という本が有りまして、
その中にエジプトの奴隷や日本の百姓がニンニクを食べなければならなかったとしたら、
それは彼らが無けなしの体力を搾り出す為の苦肉の策ではなかったか、
消化の悪い雑穀類や腐敗寸前の物を食べながらも、
寒さと飢えを凌ぐにはニンニクを食べざるを得なかったのだろう、
と言う様な表現がなされていたように記憶しています。
一理あると思います。
その結果、耗陰損目の害という大きな代償を払わなければならなかっただろうに。

これは私見ですが、健康雑誌の奨励することと矛盾するようですが、
ニンニクを薬のようにして空腹時に飲んだり食べたりすることはナンセンスであるし、
体力増強という意味と直結してビタミン剤のような感覚で常用することは
危険だと思います。(食後に一寸、胃薬代わりにという位なら宜しいでしょうが)
基本的にはあくまで調味料及び外用薬として使用すべきであって、
狂信的に内服にこだわってはニンニクの耗散剛猛の弊害を被らないとも限りません。