能見台在住の高橋秋正さんが書いた

より
アフガニスタン関連記事と写真を抜粋し、30年前のアフガンを紹介します。

出版社:悠飛社(ゆうひしゃ)定価:1400円 ISBN4-946448-62-4 C0095

入手困難な場合は近くの書店または下記出版社までお申し込みください。

株式会社 悠飛社 〒154-0003 東京都世田谷区野沢2-15-5

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キャラバン・サライに日本式のこたつが!(アフガニスタン)

  テヘランから国境まで汽車に乗る。

イラン・アフガン国境で線路が切れる。

そこからはバス。

アフガン首都カブールまで行く。

途中で夜になると、砂漠の真ん中で寝る。

キャラバン・サライ、宿屋がある。36.jpg (91596 バイト)

アフガン高原はかなり寒く雪が降っていた。

気温は氷点下。

キャラバン・サライは土蔵の宿屋。

土間に絨毯を敷き、そこにコタツがあった。

砂漠のキャラバン・サライに日本式のコタツ。

無性に日本が懐かしくなる。

手足を突っ込んで寝た。

すごく暖まりはしたが、それでも寝袋が必要だった。

寝袋を出したかったが、パックはバスの屋根の上。

外は真っ暗闇で、おろせなかった。

夜が更け、だんだん寒くなってくる。

こたつの火種は無煙練炭。

冷えてはいたが、こたつがあるのは助かった。

アフガン国境からヘラート、カンダハル、カブールまではかなりの距離。31-2.jpg (75524 バイト)

モスレムの人たちと旅をすると、礼拝時間には全員がバスを降りて一メートル四方の絨毯を雪の上に敷き、膝を屈してメッカの方向アラーの神に祈りを捧げる。

一日に五回。

八百万{やおよろず}の神々を平然と受け入れて旅をしていたので、キリスト教・回教・仏教・ヒンズー教の地域を通る際にも、特別な宗教観は持っていなかった。

宗教心は持っているが。

写真を撮ったりして、のんびりしていた。

モスレムの人たちはほんとに熱心だった。 


男がしゃがむ

  カブールにも一週間ぐらいいた。

ただただ街をぶらぶらしていた。

男が街角で、しゃがんでいる。

やけに目立つ。

トルコの田舎の方でも見たような気がする。

道端にトイレが無く、その場にしゃがみ大小。

男がなんてことをするんだろう。

街角でも平気。

季節によってその影響は随分違うだろう。

夏場なら蠅とか虫とかいっぱい飛んでいたことだろう。

臭いも強烈だっただろう。

まあ冬場で助かった。

コチンコチンで蠅も止まれなかった。

蠅がツルリと滑る。

生活の原点。

「食べて出す」人間の生の営み。

汚いが、それだけ生命力が強い。

無菌状態の国は弱い。

生命力にあふれていた。

アフガン国立銀行でトラベラーズチェックを両替した。

窓口の行員は彫りが深い大きなきれいな顔をしていた。 


闇市でインドルピーに三万円も両替(アフガニスタン)

  インドから来る人。

ヨーロッパから来る人。wpeA.jpg (46409 バイト)

行く先々で情報交換をした。

ヒッピーのメッカ、アフガンには世界中から若者が来ていた。

ある情報を入手。

「アフガンのインドルピー両替は、インドの倍」

「本当か?」

「間違いない」

両替所に行った。

日本円で三万円ぐらいインドルピーに両替するつもり。

案内人にその旨伝えた。

バザールを奥深く入る。

「怖いなあ、まあ大丈夫だろう」

たかをくくった。

路地の奧にある朽ちた建物の三階にある事務所。

トラベラーズ・チェックを切り、分厚いインドルピーの束に替えた。

「OK?」

「OK」

ヒッピー仲間に、二倍になった両替の話しをチラリとした。

いろんな人がぼくの差し出すインドルピーをためつすがめつ。

「これは偽札だ」

「これは旧紙幣だ。今のインドじゃ使えない」

ギクリとした。

「もう替えた後だし、しょうがないなあ」

打ちきりにした。

実際にインドへ行ったら、なんとそれが使えた。

天にも昇る気持ち。

持ち金のほとんどをインドルピーに替えていた。

無謀だったがラッキー。

偽札か紙屑を覚悟していたら本物。 


アフガンのナン(パン)は美味しかった

  街角でパンを並べている。wpe1.jpg (33506 バイト)

こんな笑い話がある。

「これはなんですか?」

「はい、ナンです」

アフガンでもインドでもナンと言っていた。

練った小麦を大きな竃{かまど}にペタペタ張り合わせる。

これがまた美味しい。

イスタンブール以東、ヨルダン・テヘランとかアラブに入ると、すべての人々はナンを食べていた。

トーストよりもナンのほうが格段に美味しかった。

究極のパン。 


カブールでアイヌの楽器、口琴{こうきん}を買った

  かつて津軽の人とアイヌの人は共存していた。

アイヌの楽器に口琴{こうきん}がある。

口にくわえてビョンビヨンビヨンという音を出すもの。

アイヌのオリジナルは竹製、アフガンは金属製。

シリアのアレッポとかレバノンのダマスカスと同じバザールの鍛冶屋街。

職人さんがいる手工業的な店で、口琴マウスハープを作っていた。

アイヌ固有の楽器であるはずの口琴が、なぜアフガンにあるのか不思議でならない。

オリジナルはアイヌとかウラルアルタイなのかな。

アフガニスタンでコタツとアイヌの口琴に出会った。


アフガン国境で会った車椅子で一人旅をしているアメリカ人

  アメリカ人はすごい。

アフガンとパキスタンの国境だった。

フォルクスワーゲンのバンで、身障者用の改造車。

それを一人で運転して旅をしている。

びっくりした。

彼は車椅子を下ろし、自分でドアを開けて乗り換える。

税関の出国手続きを済ませている。

「どこから来たんですか?」

「ヨーロッパから。インドに向かうところです」

と答えてくれた。

「一人で旅しているんですか?」

「はい。そうです」

「どちらの国ですか?」

「アメリカです」

手続きのどさくさで、余り長い会話は交わせなかった。

もっといろんな事を聞きたかったが。

すばらしい実行力。

車椅子で一人旅をする。

アメリカ人のすばらしさ。

可能性に果敢に挑戦するファイティングスピリッツは開拓者魂。


一人旅をしている日本女性

  日本女性もすごかった。

彼女もフォルクワーゲンだった。wpeC.jpg (30035 バイト)

「どちらからの旅ですか?」

「ヨーロッパから中近東をずっと一人で旅しているところ」

インド・ネパールまで行くらしい。

また、びっくりした。

アフガニスタンで日本女性が山賊に襲われた。

誘拐された。

パキスタンとの国境ではJALのスチューワーデスが消えた。

もう出てこない。

そういう風説が流布していた。

そんな折りもおり、日本女性が一人でユーラシア大陸を横断している。

なかなか勇気ある女性だと感心した。

「すごいなあ」

アメリカ人と結婚した女性とか、ヨーロッパで働いている女性とか、そういう人に出会うとパワーが違う。

「へえー、なんかすごいなあ」

日本女性の芯の強さを外国で発見した。

またインテリで頭のいい人ばかり。

海外で働いている人たちは、また美人が多い。

美人で頭が良くて性格がちときつい。

まあそのくらいじゃないと海外に出れないのかも。

フォルクスワーゲンを運転して旅を続けている日本女性に感心した。 


パスポート没収、返還料が一ドル?

  カイバル峠の征服にさしかかる。

アフガンとパキスタンの国境。

アフガン出国のスタンプを押され、またバスに乗る。

パキスタン国境まで二キロ。

カイバル峠、アレキサンダー大王が越えた峻険。

そこを越えると、バスの運転手と入国管理の案内人が

「パスポートを預けてくれ」

「なぜパスポートを集めるんだ、取るんだ」

と不信感を抱きブーイングでいっぱいになる。

「預けないとバスを発車させない」

ぶーぶうぶーぶう押し問答を繰り返した。

ヒッピーの文句は聞き入れてもらえず。

やがてアフガンの人たちが一ドルを渡した。

それにつられて周りの人も一ドルを渡す。

最後まで抵抗したが、やむなく出した。

全員が出し終わると、バスに乗っていた現地の案内人らしき人が、それをまとめて預かる。

バスがやっと出発した。

後で、そのお金を山分けしたのだろう、多分。

カイバル峠の山賊に金をむしり取られて、やっと峠を通過。

パキスタンの国境。

パスポートを返してくれると思ったら

「一ドル払え」

「エーッ?!なぜなんだよ?」

パスポートをすんなり返してくれない。

また二十分ほどすったもんだ。

「ごちゃごちゃぐちゃぐちゃ」

「もう勘弁してくれよーッ」

しびれを切らして、また誰かが一ドルお金を払う。

うーん、分からない取られ方をした。 


火縄銃がいっぱい(カブール)

  カブールの街で目を引いたのが火縄銃。wpe8.jpg (44243 バイト)

「ワオゥ、すごい」

所狭しと火縄銃が陳列されていた。

いろいろ格好いいのがある。

値段を聞くと、日本円で安いのは二千円。

高いのでも五千円。

いやあ、これ日本に持ち帰ったら十万円以上するというのがごろごろ。

よだれが出た。

その場にいた友達に聞くと

「日本は銃火気の持ち込み禁止だからダメ」

と一蹴された。

欲しかった。

「美術工芸品として飾っておくだけならいいんじゃないの」

持ち帰りたかった。

火縄銃は構造が簡単なので、弾を込めたら打てるらしい。

旅の途中でもあったので、やむなく断念。

鉄砲かついで行くわけにもゆかず、悔しかった。

アフガンの火縄銃、とても気に入った。

一丁買って部屋に飾っておきたい。 


アフガンの音楽  アフガンの音楽をお聞きいただけます。3min 56k以上

  アラブの音楽はほとんど耳にしていなかった。

イスタンブールからアフガンにかけて、あまり聴いたことがないメロディに出会う。

アラブっぽい、へび使いががやるような、或いは魔法の絨毯に出てくるような音楽程度なら聴いたことがあったが。

イスタンブールとベイルートで聴いたファイルーズの歌声。

ファイルーズの歌に聴き惚れる。

短波ラジオでアラブのクェート放送をチューニングして、アラブからアフガンの音楽を聴く。 

もうすぐインドだ。

インドが俺を呼んでいる。


                             ねっと金沢

01/10/18