北京体育大学教授 敢桂香著「二十四式太極拳/三十二式太極剣」翻訳 監修:鈴木康弘

 第一章 概述

一、太極拳の生理、保険作用について

   ここ数年来、中国武術のひとつである太極拳運動は国際社会において盛んに展開して太極拳ブームを形成しており、これは常に太極拳を練習すれば人体の各器官、系統の機能に対して等しく改善する良好な働きが有るからです。  太極拳は健身と病気の予防、治療に良好な効果を備えているため、医療保健体育項目の一つとなりました。  太極拳はなぜ人体に対して病気の予防、治療と老衰に対抗する働きを果たすのでしょうか? まず最初に太極拳の運動特点から分析してみましょう。 太極拳運動の特点とは緩慢(ゆるやか)、柔軟(穏やか)、連貫(連なる)、バランス(均等)円和(まろやか)、自然、協調、完整(完備指ている)、剛柔相済です。この項目の運動の特点と要求に符合するには、身体がすぐに心静体松(心を静かにして身体をゆるめる)を実行し、リズムのある呼吸運動を組み合わせます。特に法則のある呼吸運動によって胸腔と横隔膜の運動を促すようにして血液とリンパの循環を強化し、人体内の鬱血現象(うっけつげんしょう)を減少します。  武術における言葉を用いて言うなら気沈丹田(気を丹田に沈める)と呼ばれるもので実際には一種の腹式呼吸です。この種の呼吸法は横隔膜と腹筋の収縮と拡張により腹圧が高まる時に腹腔の圧力が静脈に圧力の影響を受けざるをえないようにして血液を右心房へ送り込みます。同時に横隔膜の運動がまた肝臓に規則的な按摩(マッサージ)効果を与えることができ、肝臓の鬱血をも取り除き、肝臓の機能を改善する有効な方法となります。さらに太極拳の練習には心を静かに注意力を集中することを要求され、中枢神経系統、特に大脳で雑念(この雑念とは我々の生活の中で考えている多くの問題と事情が大脳に反映していることです)を排除し、専心して練習を行えば、注意力を運動に集中でき、大脳の病変さえも抑制されることができ、平息(鎮める)および調養(養生する)の効能が発生します。この他に太極拳の鍛練に従事すれば老衰に抗することが出来ます。老衰は一種の生理、心理、病理の構成要素が総合的に働いた結果で、しかも病気は人々を老衰へと促す主要な構成要素で、病気が多くなれば老衰も早く進行します。太極拳の効果とは老衰の経過を大きく延期させることにあり、またその上太極拳を練って経絡の流通をよくすれば心理を養生し、記憶等の効能を強化し、さらに友好的に老衰を遅らせることができるのです。なぜなら一つの太極拳は套路と呼ばれる数十の動作の組み合わせから成り立ち、13勢、24式、48式と言うように多くの架式から成り、これら格式の套路をしっかり記憶し、忘れないようにし、一つの動作を次の動作につなげていきます。これは人体の神経系統に対しての鍛練、すなわち大脳の中の記憶効能に対しても鍛練効果は非常に良いのです。常に記憶効能の鍛練を行えば、頭(思考力)は敏感になり大脳の物事に対しての反応を早くして、鈍さをなくし、人体の大脳を健康、敏捷にして、素早く問題を解決し事柄を処理することを早くして効率をあげる目的に到達します。大脳が健康かどうかは老人にとってもとても重要で、もし大脳がすでにはっきりしていなければ人体は秩序有る仕事や生活を行う術が無くなります。反対に大脳が健康であれば四肢が一部欠けていたとしても、変わらず生活できます。それゆえ大脳の鍛練は延年益寿(長生きをする)、抗衰老(老衰に抗する)の重要な問題です。  ここ数年来みんなが臓腑器官に対しての鍛練を比較的重視しているが、これはこれらの器官が病気の変化に対して比較的に敏感であるからですが、しかし脳の機能の鍛練に対しての認識が不足しており、常に人から聞かされるのは、太極拳を練習するのは難しい、動作が覚えられない等の事柄で、これらは小数の人達が頭脳を多く動かしたく無いが、でも長生きしたいという心理状態を反映している。このような考え方は間違いで気力を費やさず、脳を動かさず、太極拳の練功法だけ学んで長生きしたいと言うのは不可能なことです。それゆえ身体を良く鍛練し長生きするには必ず常に太極拳の鍛練を継続して記憶の効能と大脳の敏感性を向上させなければなりません。  病気の予防(防病)は太極拳の最も基本的な効果で常日頃から太極拳に親しめば人体の各器官の効能が強化でき、それによって病気の予防と治療の目的に到達できます。  たとえば、多くの事例の中から例として取り上げてみましょう。ある運転手の方は常に運転しているので、いつも座り続けて両足が頻繁に単調な動きとなり、時間が長いので疲労し、風に当たり、関節炎を患いました。階段の昇り降りにも痛み、ブロック療法を行いましたが、効果は長持しなかったようです。その後太極拳を習い、練習を一定時間経過してから、足の痛みが無くなりました。これは先生について太極拳を覚え毎日家の中でも練習した結果です。彼の鍛練の積極性はさらに高まり、たとえ夏であろうとも、また冬でも中断したことはなく、彼は見事に自らの努力で膝の痛みを克服したのでした。またある人は胆結石を患っており、始めは痛みに耐え難く、半信半疑で陳式太極拳を学習しました。陳式太極拳には震動、小跳(跳ぶ)の動作がいくつか組み合わされているので、とても学びきれるものでは無いと心配していましたが、いつの間にか胆結石が取れて痛みが無くなりました。これらは太極拳が有る種の薬物が到達できない効果を果たすことができ、多くの人々に利益をもたらしたことを実証されたました。  安徴省(中国の県の名)の固鎮県(村の名前)の胡啓賢さんは全身に十数種もの病を患い、長く入院していたが治療の効果は無く、家に長く臥せていて食も進まなかった。生命の危篤の折に安徴省にて大衆性の「48式太極拳」の講習会が開催された時の参考書を見ながら、寝床の中で臥せて練習し、座って練り、立上がって練習しました。最初は部分的に、そして全体的に練習をくり返した結果、ついに病魔に打ち勝ち、死のふちより蘇りました。現在彼はすでに70歳代であるが、身体も壮健になり、優秀な指導員となり、その後中央電視台(テレビ局)の「夕陽紅」(老人向けの番組)にて太極拳を教授しているほどです。彼は”太極拳は私の生命で私は1人幸福を得たが多くの人にも利益を受けてもらいたい”と言っています。

さあ、がんばって次ぎに進もう!
第二節は次ページですがまだ製作中です、暫くお待ち下さい。^:^;;。

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